※本記事の情報は 2026年8月時点 の制度に基づいています。NISA制度は改正される可能性があるため、最新情報は金融庁や証券会社の公式サイトでご確認ください。
🕒 時間がない人向けまとめ
- NISAの成長投資枠で株を売却すると非課税枠は復活しますが、復活するのは「売却した翌年の1月1日以降」です。同じ年のうちに売って買い直すことはできません
- 復活する枠は売却時の時価ではなく、購入したときの価格(簿価)で計算されます。値上がりした株を売っても、増えた分は枠に戻りません
- 優待株は銘柄を入れ替えたり複数買い足したりする機会が多いため、この2つのルールを知らないと「年間投資枠を使い切って買いたい優待株が買えない」という事態になりがちです
- 成長投資枠の年間上限は240万円、生涯の上限は1,200万円(つみたて投資枠と合わせた生涯上限は1,800万円)です
- ポートフォリオ全体の組み方は株主優待ポートフォリオの組み方もあわせてご覧ください
まずはNISA成長投資枠のおさらい
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、優待株のような個別株を購入できるのは成長投資枠のみです。基本的な上限は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 成長投資枠の年間投資枠 | 240万円 |
| つみたて投資枠の年間投資枠 | 120万円 |
| 年間投資枠の合計 | 360万円 |
| 成長投資枠の生涯非課税保有限度額 | 1,200万円 |
| 生涯非課税保有限度額の合計 | 1,800万円 |
この非課税保有限度額は「一度使ったら終わり」ではなく、保有している株式を売却すると再び使えるようになる、いわゆる「枠の復活」という仕組みがあります。優待株投資家にとってはここが特に重要なポイントです。
枠が「復活」する仕組み
非課税枠が復活する際のルールは、次の2点に集約されます。
① 復活するのは売却した年の翌年1月1日以降
年内に株を売っても、その年のうちに同じ枠でもう一度非課税で買い直すことはできません。復活のタイミングは売却した年の翌年です。「優待の権利を取ったらすぐ売って、別の優待株に買い替えよう」と考えても、その年のうちは新しい非課税枠として使うことはできない点に注意が必要です。
② 復活する金額は「売却額(時価)」ではなく「取得価額(簿価)」
これが最も誤解されやすいポイントです。非課税枠の復活は、株を売った時の値段ではなく、その株を最初に買った時の値段(簿価)を基準に計算されます。
- 値上がりした株を売った場合 → 利益分は非課税で受け取れるが、枠として戻るのは購入時の金額分だけ
- 値下がりした株を売った場合 → 損失が出ていても、戻る枠は購入時の金額分(損した分だけ枠が減るわけではない)
つまり「利益が出た株を売れば、その分たくさん枠が空く」という考え方は誤りで、あくまで元本ベースで管理されているということを理解しておく必要があります。
優待株投資家が特に見落としがちな3つの注意点
① 年内の「優待の入れ替え」に枠がすぐ使えない
優待株投資家は「この銘柄は改悪されたから売って、別の銘柄に乗り換えよう」という判断をすることがあります。しかし、NISA口座で年内に売却しても、その年のうちは非課税枠が復活しないため、同じ年に非課税で買い直すことができません。年内に非課税で買い直したい場合は、その年の年間投資枠(成長投資枠なら240万円)の余りの中でやりくりする必要があります。
② 値上がり益は枠の復活に反映されない
優待株の中には、株価が大きく値上がりする銘柄もあります。「値上がりした株を売れば、その分大きな非課税枠が戻ってくる」と思い込んでいると、想定より枠の復活が少なく、次の投資で非課税枠が足りなくなることがあります。復活するのはあくまで購入時の金額分だけです。
③ 複数の優待株をこまめに買い足すと年間枠240万円を早く使い切る
優待株は1銘柄あたりの投資額が数万円〜数十万円程度のものも多く、「毎月のように気になる優待株を買い足す」というスタイルだと、年間240万円の成長投資枠を予想より早く使い切ってしまうことがあります。年間の非課税投資枠には限りがあるため、優待株をNISA口座で計画的に増やしていきたい場合は、年間でどのくらいのペースで買い進めるかをあらかじめ考えておくと安心です。
具体例で確認してみる
たとえば、100万円で購入した優待株Aが150万円に値上がりしたタイミングで売却したとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入時の金額(簿価) | 100万円 |
| 売却時の金額(時価) | 150万円 |
| 非課税で受け取れる利益 | 50万円 |
| 翌年に復活する非課税枠 | 100万円(簿価分のみ) |
売却益の50万円は非課税の恩恵をしっかり受けられますが、非課税枠として戻ってくるのは購入時の100万円分だけという点が重要です。この仕組みを知らずに「150万円分の枠が空いた」と考えて次の投資計画を立てると、思ったより非課税で買える金額が少なく感じることになります。
優待株×NISAをうまく付き合うための考え方
- 年内に頻繁な入れ替えを前提にしない:NISA口座は「じっくり保有する優待株」向けに使い、頻繁に入れ替える可能性がある銘柄は特定口座(課税口座)で持つという役割分担も一つの方法です
- 年間投資枠の使用ペースを意識する:年の前半で枠を使い切ってしまうと、後半に気になる優待株が出てきても非課税では買えなくなります
- 売却は「翌年に非課税枠を計画的に使う」ための準備と考える:今年売った分の枠は来年の投資計画に組み込むとよいでしょう
まとめ
NISAの成長投資枠は、売却しても非課税枠が復活するという大きなメリットがある一方で、「復活は翌年から」「復活する金額は簿価ベース」という2つのルールを正しく理解していないと、優待株を頻繁に入れ替えたいタイプの投資家ほど「思ったより非課税で買えない」という壁にぶつかりやすくなります。優待株ならではの「銘柄の入れ替えが起きやすい」という特性を踏まえたうえで、NISA口座と課税口座をどう使い分けるか、年間投資枠をどのペースで使うかをあらかじめ考えておくことをおすすめします。
ポートフォリオ全体の業種バランスを考える際は、株主優待ポートフォリオの組み方もあわせてご覧ください。
※本記事の内容は2026年8月時点の新NISA制度に基づいています。NISA制度は法改正等により内容が変更される可能性があるため、実際の投資判断の際は必ず金融庁の公式サイトやご利用の証券会社の最新情報をご確認ください。本記事は投資勧誘を目的としたものではありません。


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